平成17~18年豪雪・法雲寺の場合
今年(H19・2007)の夏は猛暑を上回り、酷暑になるとか?冬に雪が全く降らなかったから、深刻な水不足に陥るとか、今から言われています。出来れば、その予想が外れてくれることを願うばかりです。
この冬(H19)は雪がゼンゼンでした
このH19年1~3月に掛けては、信じられないほど雪が少なく、地元のスキー場は営業を継続する為に大変な苦労をされていたようですが、結局は例年より大幅に営業期間が短縮せざるを得なかったとか?
そう考えると、H17年末~H18年に掛けて経験した、あの豪雪は一帯なんだったんだ?っていった感じです。
ここの所の気象の変化はほんとに極端で、降る時はどさっと降り、降らないと成ればゼンゼン降らない。本当に極端に成ってしまっています。これも、地球温暖化による影響の一つなのでしょうか?
大分薄れてしまっては居ますが、記憶を頼りに、あの豪雪のことを思い出しながら整理してみたいと思います。
意外に初雪は遅かった?
H17~18の豪雪では、信越地方で4メートルを超える積雪に見舞われたところもあったとか?信越地方ほどではないのですが、法雲寺がある但馬・村岡は関西では有数の豪雪地帯。2メートルを越す大雪に悩まされ・苦しめられました。
村岡では例年ならば、大体11月中旬から下旬に初雪が降り(たいていは余り積もらない)、その後12月上旬~中旬に一度10センチ程度の積雪があり、その後、天気のいい日が幾日か続き、その間に大慌てで雪囲いをしたり、植木の雪吊りをしたりして雪に対する備えをします。
そして本格的に根雪と成るような雪が降り出すのは、12月20日を過ぎた辺り、大体、クリスマス辺りからというのが例年のパターンで、その年もそんな感じで雪が降るのかなと考えていました。
初雪
この年の村岡での初雪は割りと遅く12月5日と記憶しています。この分ならこの冬も割りと雪が少なくて済むかな期待していたのですが、普通の初雪ならば一度降って暫く良い天気が続いて、降った初雪も一度溶けて、と何度かその繰り返しをしてから、本格的な本降りになってくるのですが、この年の初雪は降りだしたたら行き成り結構な量が積もり簡単には消えない。
雪の質もべたべたのボタン雪ではなく、サラサラの粉雪のような感じで、降り積もってしまうと可也重たい雪質。
でもまあ、一度は溶けてくれるだろう・・・その時に、庭木やお寺の周りの雪囲いもすれば良いかと思いつつも、結局雪は一度も溶けることなく降り続き、雪の備えも充分に出来ないままに、初雪がそのまま根雪となってしまいました。
12月なのに雪下ろしで屋根に
冬本番を思わるような雪が降り続き、結局年末時点で積雪量は150センチに迫り、このまま何時雪の降り具合が弱まるかも見当がつかないので、12月なのに屋根に上って雪下ろしをせざるを得なくなりました。雪の降り始めの12月に屋根に上がって雪下ろしを行ったと言うのは初めてでした。
その上この数十年間比較的雪の降りも少なかったので、屋根に上がって雪下ろしをしたのは平成7年(阪神大震災の年)以来10年ぶり、先ず「屋根に登らなければ成らない」と決心するまで可也時間が掛かったように思えます。
クリスマスのプレゼント?
まあ、まだ大丈夫大丈夫と思っていた12/24の朝、駐車上から金属がひしゃげるような音がしました。窓をあけてみると・・・まぁ、なんと車庫が潰れていました。
積雪量は大体110センチぐらいでしたので、例年の感覚で「まだ大丈夫」と安心していたのですが、この冬の雪は普通の雪に比べてサラサラとしてズッシリト重い雪でしたので、例年のふわふわした雪と比べると同じ110センチの積雪でも、その重さがまったく違うようで、例年その程度の積雪量に耐えていた車庫も限界を迎える結果となりました。
車庫に積もった雪をどかせ、車を引っ張り出しながらも、「やはり屋根に上って雪下ろしをしなければ・・・」とやっと考えが至った次第です。
とても正月準備どころでは
結局、12月5日から降出した雪が降る勢いを弱め、いったん終息を迎えたのが、暮れも押し迫った12月27日ごろ。
その間ズ~ッと降っていた訳ではないのですが、弱まったり、強くなったりで、結局年末時点で1.8メートルに迫るほどの積雪量に達していました。
降りが治まったといえども、すぐになくならないのが雪の困ったところ。通路の確保に、建物に迫る雪、また屋根の上に降り積もった雪の始末に追われ、とても正月準備もままならぬ内に除夜を迎えたように思えます。
年末から三ヶ日位の間は、あれだけ降り続いた雪も降らず、ほっと一息入れることが出来たのですが、お正月が終わるのを待っていたかの如く、正月明けから再び雪が降る出し、雪の重みで屋根に被害が出るようなお宅も現れ始めました。
それでも除夜は降雪なく迎えることが出来ました あけて平成18年元旦です
どこかが違う
例年、この村岡地方で降る雪は、フワ-としたボタン雪が主流ですが、この年は気温が低かったせいなのか細かい粉雪のような雪が良く降っていたように思えます。
ボタン雪は綿のようなフワーとした体積の大きい雪の塊であるのに比べ、粉雪は文字通り細かな雪の粒でした。
粉雪ですので一つ一つの雪の粒は軽く細かいものですが、これが降り積もると、ボタン雪のように隙間がない分、ギッシリと高い密度で降り積もっていきます。単位面積あたりの雪の粒の密度が高いから、当然重量もボタン雪が降り積もったときより重くなる。降り積もった雪の上に更に重く降り積もるから、下の雪は更に圧縮され、余計重い雪となっていく。ボタン雪の場合と同じ積雪量であったとしても、その質量はまったく異なると思えます。
例えて言えば粉雪が炒る前のポップコーンだとしたら、ボタン雪は炒って出来上がったポップコーンということになるでしょうか?
炒る前のポップコーンと出来上がったポップコーンをカップ一杯に入れたら当然、重さが違って当然です。
「粉雪」を 「炒る前のポップコーン」だとしたら | 「ボタン雪」を 「炒った後のポップコーン」としたら |
同じ容積あたりに収まる個数が違い、当然重量も異なる |
年末に潰れてしまった車庫も、そのあたりの勘違いがあって、例年なら(ボタン雪ならば)1メートル位の積雪までは大丈夫と思っていたのが、実は降っていたのは、ズッシリと重い粉雪で、同じ1メートルの積雪でもその重量は大違いであったわけです。
(「除雪のときにそれぐらい分かるだろう」とお思いでしょうが・・・除雪には除雪機を主に使用することもあって、機械を頼っていると余りスコップ等は使いません。潰れた車庫の屋根の雪をスコップを使って雪を片付けていて、始めて実感した次第です。お恥ずかしい・・・)
村岡流の雪の降り方
この辺りはドカ雪が2~3日降って一挙に積雪量を押し上げた後、また天候が回復して雪が緩む。という繰り返しをして春を迎えるのが例年なのですが、この冬の雪の降り方は少し違っていました。初雪が降ってそのまま、それが春までの根雪になったのもそうですが、ダラダラと雪が何日か続き、その後の天候の回復や気温の上昇もないまま、また新たな寒気が入り込み、再びダラダラと粉雪のような雪が途切れなく降り、既に降った雪を圧縮しながらも、少しずつ積雪量を増やしていく。そんな降り方であったと思います。
雪止めが却って逆効果?
この辺りの家々は屋根の雪が一挙に落下しないように、軒先に雪止めをつけています。普通の冬ならば降雪後、数日もすれば、気温の緩みや日差し、家内の余熱等で少しは溶け、この雪止めの先の雪の方から雪が緩んで下に落ちたりするのですが、この冬は軒先の雪はしっかりと屋根に張り付いたままで、余り緩みませんでした。多分、これも強い寒気に襲われたせいだとは思うのです。
屋根に積もった雪はその自重で雪を下方向(軒先方向)に押します。軒先では雪止めがあるから、そこから先には雪が進めません。そうなると軒先では上のほうから押してくる雪の重みのために雪が押され圧縮され、また、圧縮が限度まで来ると上方向にロールケーキの如く盛り上がって行きます。そうなると当然、支えや柱をしていない軒先に非常に重たい重みがかかってきます。
この地方の古い家は軒先を長く取っているところも多くあり、軒先が落ちてくれない軒先の雪の重みに耐え切れず、軒先が折れてしまった家も数多くありました。
軒先の雪止で降った雪は止められる。 通常ならば数日で雪止めより先の雪は 緩くなって下に落ちる。 | 寒さのため雪止めより先の雪は留まり 更に上の雪が下向きに圧力をかけ、 雪止め周辺に溜まり、軒先が大変に重くなる |
正月明から雪下ろし本番
正月明からダラダラと降っていた雪は5日間程度続き、積雪量は既に2メートルを越え、「一刻も早く屋根下ろしをしなけれ・・・」と限界に近いところまで到達していました。もちろん雪が降っている最中でも出来るところから上っておろしていたのですが、お寺ですからやるべき所は幾らでも待っている。
まあそれでも1月9日には寒気も一旦緩み、しばらくは降る気配もなくなったので、本格的に屋根の雪下ろし始動です。といってもスコップを持って一人で屋根に上っての作業ですので、やれる範囲・ペースには限りがあります。それにやる気を出して屋根に上っても、高いところで2メートルもの雪の壁に直面すると恐怖心が頭をもたげ、やる気を萎えさせてしまいます。
表面化した問題(高齢者だけの世帯は深刻)
幸い私はまだ40代ですので一人だけでも地道に屋根に上がって、思う存分除雪が出来るのですが、過疎の町・村岡は老夫婦だけのお家、独居老人のお宅も結構あります。ご自分で片付ける気力・体力がある方ばかりでも有りません。そんな方々は地元の工務店や建設会社に屋根の雪下ろしを依頼するのですが、いくらその道に通達している人であっても、この仕事だけは機械化されているわけではなく、基本的にはスコップ等の除雪道具をてにしての可也キツイ手作業で対応するしかなく、4~5人のグループを組んで午前に1件、午後に1件を片付けるのが精一杯。しかも、除雪の為だけに大工さんや作業員さんはいるわけでなく、圧倒的な依頼数の対応に応えるにも限界があります。依頼してから除雪にかかるまで一週間程度は待たされることもあるとか?
その間も屋根に乗った雪の重さのために、部屋の建具が動かなくなったり、柱や梁からきしむ音が聞こえたりして、雪の重みで家が潰れてしまうのではないかと言う不安を助長してしまう。
雪国に住む若い世代が同居しないお年よりにとっては、結構つらい状況だったのかもしれませんし、またH18年豪雪のような規模の大雪に見舞われると、同じ状況が作られてしまうわけです。
それでも春は来る
でも幸いなことに正月明から続いた雪が一段落したあとは強い寒気もひと時は雨が降るほど緩み、その後は大した降雪もなく春を迎えることが出来ました。
一頃は連日続く降雪と終わることのない雪の片付けに、春までこの状態が続くのか、春は本当に来てくれるのか?と途方にくれましたが、自然はどこかでキチット辻褄を付けてくれるものかも知れません。
しかし、この平成18年豪雪や最近の大型化する台風などを見るに、最近の自然災害は降るときには極端に降る、暑いときには極端に暑いと変化が極端に激しくなってきています。
それだけ自然や地球の懐は浅くなってしまったということなのでしょうか?・・・もちろんそこまで自然や地球を追い詰めたことに、我々人間が無関係な筈はないと思います。
「喉元過ぎれば・・・」というのが我々の性。必要ないことかもしれませんが、あの冬の辛さを忘れないために、書き残しておきます。
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