参拝記念手拭を作ろうと思って
お寺に参拝された時の記念品というか、お供えのお返しの品は、「お線香」や「タオル」、「マッチ」や「ふりかけ」等、どんな物が良いのか、毎回決めるのに思い悩みます。
そんな時に、「定番の記念品的な物があれば、助かるのにな~」等と思います。
そこで、お寺の文物紹介も兼ねて、イラスト入りの参拝記念の手拭いを作ろうかなと思い、史料館「山名蔵」に収蔵されている、応挙作と言う「仙人図」から、手拭いを作ってみました。
「仙人図」について
円山応挙と言えば、但馬地方では香住の大乗寺の襖絵が有名ですが、江戸時代の中期に京都を中心に活躍した画家で、写生を重視し、日本画の題材に写実的な技法を取り入れて、独自の画風を確立させたと言われます。
手拭いの原本となった「仙人図」は、豊岡藩・京極家所蔵の品で、明治維新の時に藩財政清算の為に市中に出されたようです。その後、幾人かの手を経て、表具師をされていた法雲寺の檀家の元にたどり着き、平成3年(1991)の「山名蔵」開館の際に展示品としてご寄贈頂いたものです。
応挙の軸がもう一本
有り難いことに、山名蔵にはもう一軸、応挙の掛け軸が有ります。
これは、能の「江口君(ぎみ)」の一場面を描いたもので、日本画の画題として昔から好まれてきた物のようです。写真のように美しく写実的で美しい色合いの絵ですが、その繊細さ故に余り手拭い素材としては向かないように思ったので、水墨画的な「仙人図」を選んだ次第です。
絵の内容は
仙人図に話を戻しますと・・・
絵の師匠が二人の弟子と共に絵の製作に臨んでいると、気を込め過ぎたのか?描いていた絵が魂を持った「もののけ」の如く紙面から飛び出してしまうと言うユーモラスな場面を描いています。
「またか」と困り顔の師匠に、「そら、出てきた」と大喜びの兄弟子、突然のことに頭を抱え込む弟弟子、三者三様の表情を、現代の漫画に通じるような表現で描いているところに面白みを感じます。
そして、絵から飛び出していったものは一体何だったのか?気になるところですが、絵の上には飛び出していったものの余韻しか残っていません。一説には、足の無い幽霊画を初めて描いたのが円山応挙だと言います。この仙人図を見ると、その説も納得できるように思います。
作成の手順
今回の手拭いのデータ起こしは、当方で行いました。
「仙人図」の写真をとり、それを下敷きにしてドローソフトで輪郭をなぞり、衣と肌の色を色づけをして、手拭い大のサイズに調整する・・・といって流れで作成しました。
色の使用数は3色ですので、輪郭で黒を使っていますので、残り2色。原本通りの色の塗り分けは無理です。今回は衣の色を3人とも同じにした次第です。
因みに、ドローソフトはイラストレーターが標準のソフトのようですが、素人には少し高く感じますので、インクスケープという無料のソフトを使用しています。
ドローソフトで作成した手拭いのデータをPDFに変換して、後は検索サイトで「手拭い オリジナル 作成」で検索すると、手拭いの業者がいくつも出てきます。
その中から、頼みやすそうな会社を選択して、作成を依頼という手順です。
少ない数ですが・・・
今回この「仙人図」手拭いを100枚作成しました。余り数は多くないですが、、この手拭いを手にするご縁がありましたら、身近においていろんな用途に使用して頂ければと思います。
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