6: 2009-09-23 (水) 11:31:19 admin ソース 7: 2009-09-30 (水) 13:50:13 admin ソース
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 其うえ弓矢の家に生まれぬれば、いつも殺生をのみ事とせり。かなしきかなや。さりながら弥陀方便の御ちかいをあおぎ奉れば、摂取不捨の本誓、不取正覚の悲願、たのもしきかな、たとい極悪人也とも、せいぐむなしからずんば、罪障のまよいの雲をふきはらって、真如の月の影をやどし給えつつ、ちかくはふたらく山の大悲観音、とおくは西方極楽世界の弥陀如来、われらをむかえ給えと、ねんがんしてのち、抑赤松殿の御内に、安積とて度々の合戦に、高名したる兵の、ただ今腹をきるをみおきて、心あらん侍者のちの手本にせよというもあえず、腹十文字にかききり、腹わたをつかみ出し、矢ぐらの下へなげ落しけり。  其うえ弓矢の家に生まれぬれば、いつも殺生をのみ事とせり。かなしきかなや。さりながら弥陀方便の御ちかいをあおぎ奉れば、摂取不捨の本誓、不取正覚の悲願、たのもしきかな、たとい極悪人也とも、せいぐむなしからずんば、罪障のまよいの雲をふきはらって、真如の月の影をやどし給えつつ、ちかくはふたらく山の大悲観音、とおくは西方極楽世界の弥陀如来、われらをむかえ給えと、ねんがんしてのち、抑赤松殿の御内に、安積とて度々の合戦に、高名したる兵の、ただ今腹をきるをみおきて、心あらん侍者のちの手本にせよというもあえず、腹十文字にかききり、腹わたをつかみ出し、矢ぐらの下へなげ落しけり。
 しかれども、大剛のものなれば、いまだ死なず。又本の城へかえり、入道殿の御座ありし所に火をかけ、入道殿の御跡をまくらとして、みずからとどめをさして、やけ死にけり。」  しかれども、大剛のものなれば、いまだ死なず。又本の城へかえり、入道殿の御座ありし所に火をかけ、入道殿の御跡をまくらとして、みずからとどめをさして、やけ死にけり。」
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-かくて、持豊は播磨国を、修理大夫は美作国を、相模守は備前国を拝領した。しかし、享徳三年、細川成 
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 +かくて、持豊は播磨国を、修理大夫は美作国を、相模守は備前国を拝領した。しかし、享徳三年、細川成之ぽ赤松彦次郎祐之、彦五郎を取りなし、将軍義政は内々赦免した。かくて、翌享徳四(一四五五)年四月、
 + 「赤松彦次郎祐之、同彦五郎則尚、播磨へ打入、国人を語らい二手に分ち、一手は檀特山を保ち国中を打随へんとし、一手は室山に持豊が子息弾正忠政豊楯籠りけるを、彦次郎彦五郎水火になって攻落さんとす。
 + 持豊これを聞て、五月の初播磨に往て普當山に陣を取り、檀特山に楯籠りける敵を一責せめけれども落し得ざれば、ここを打捨て坂本へ通る。
 + 其心室山に子息弾正忠政豊籠しを彦次郎急に攻て難儀の由を聞て、敵を跡におきながら坂本へ被通ける。
 + 室山の寄手、持豊が威風におそれ、責口を引退き持豊と戦はんとせしが、引立たるくせなれば、我先にと引退けども、持豊に向て一戦を遂んと思う者はなかりけり。
 + 持豊は両敵の間にはさまれば、手痛き合戦あらんと思ひしに、案に相違して敵散々に成り落行けば、却て残多くぞ思ける。
 + 室山の寄手くずれたる由を檀特山に籠る軍兵共聞て、我先にと退散して、国中に敵一人もなし。
 + 彦五郎は備前のカクイ嶋にて自害し、彦次郎は伊勢国司北畠殿親しきゆえあれば、頼み下りけれども叶ず、自害しけり。」
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 +しかし、この抗争は応仁の乱の一因にもなり、決着は乱中に一まずついたかに見えたが、乱後にも一波乱あるのである。まずは「応仁別記」から。応仁の乱は五月廿六日に始つたが、山名と赤松の合戦は、
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 + 「同六月八目一条大宮猪熊の間にて、山名相摸守ひかえたりけるに、赤松次郎政則懸合て数刻合戦有。赤松側には浦上、小寺を始めとして爰(ここ)を詮と戦けり。
 + 中にも依藤豊後守弓手(ゆんで)の瞼を射られ、其矢折かけて相摸守一門常陸守と組で、、上に成り下に成しが、常陸守を取 て押え、頸カキ切、太刃の先に貫き、山名常陸守をば依藤豊後守討取ったりと高聲に名乗ける。
 + 古の鎌倉権五郎景正にも劣らぬ高名哉とぞ各褒美せられける。相摸守の内片山備前守は大力也。明右越前守是又力量の者也。
 + 引組で上に成下に成しが、明石組勝て片山が頸を取て立挙る処に、片山が傍輩赤松孫四郎押竝て組処を、明石事ともせず組伏せ、是も頸を取る。惣じて此合戦に相摸守一族若党廿八人討死す。」
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 +P57
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