1: 2010-06-01 (火) 23:21:25 admin ソース
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 +TITLE:魂のかたち
 +#navi(法話)
 +*魂のかたち [#r59553f3]
 +前回の寺報で一周忌のことだけを「むかわり」と何故言うのか、思いつくままに書かせて頂きました。
 +おさらいをすると、人が誕生するまでに十月十日(310日)、人が亡くなって来世が定まるまで中陰の期間が49日間。この49日間と310日を足せば約360日となり、陰暦で言ってきた1年(360日)とほぼ等しくなる。ですから、丁度一周忌(「むかわり」)を行っている頃に故人の魂を引き継いだ新しい命がどこかで誕生している。
 +それ故、生まれ変わり、身代わりという意味を持つ「むかわり」と言う言葉が一周忌の別名として定着しているのでは無いか?
 +「むかわり」は故人を悼むとともに、新たな生命の誕生と無事の成長を祈る意味が有るのではないかと、言った主旨でした。
 +
 +*魂が主役? [#q48a66c5]
 +この輪廻転生する考えの根本には、身が変わり、生が変わっても主体となる魂との存在を前提としています。言い換えれば、魂の方が主人公であり、身体は浮き世を渡り歩くための借り物で、一時的な入れ物のような受け止め方です。
 +しかしながら、我々は今こうして生きている現世しか知らず、もし前世が有ったとしてもその記憶は無く、魂の永続性・永遠性を説かれても簡単には納得できないところが有ります。
 +
 +*自信が持てない [#fa43cfba]
 +かと思えば、この春のことでしたか?霊感商法のニュースが何件か続きました。
 +T易断の占師に「先祖の霊が供養されずに、迷っている」とか、テレビで有名な霊媒師に「不浄霊や動物霊が取り付いている」と言われ、共に「今不幸なのはその霊が祟っているから」と、その霊の供養や浄霊を行うには多額の供養料が必要と言われ請求された・・・
 +今更、そんなことを言っている人が居る、また、そんなことを信じてしまう人もいるのか?と、思うところです。
 +
 +それらの占師や霊媒師の言うところの霊と、ここで言っている魂が同じものであるのかどうかは分からないですが、霊の姿が見える人には、輪廻転生繰り返す魂の何処の時点の姿を見て、見えると言っているのか?そもそも霊や魂に姿というものが有るのか?と考えれば考えるほどに胡散臭く、疑わしい限りです。
 +
 +*魂=自然のパワー? [#qece9302]
 +私自身、魂の姿は目にしたわけではなく想像するしか出来ないのですが、若し生きとし生けるものが全て魂を有しているとするならば、その数は無限以上になります。
 +魂と言う物の存在は個々別個に存在する特別なものではなく、目にすることは出来ないが、空気のように全世界を包み込んで生命を育む、「活力源」「原動力」「エネルギー」の集合体を人々は昔から魂と言って来たのではないかと想像します。
 +
 +魂が目には見えない自然のエネルギーのようなもとするなら、そのもの自体、増えるものでも、すり減るものでも無く、聖なるものでも不浄なものでもない無垢の存在であり、魂そのものが悩んだり傷ついたりするものでも無いでしょう。
 +まして占師や霊媒師の先生が指摘する如く、意志を持って「供養されていない」と文句を言って来り、人に取り憑いたりすることが出来る存在では無いと思います。
 +魂にとっては却って、今現在生きている我々の様に人の身体と魂が一体になって生きている状況の方が、様々な事に悩み苦しみ、四苦八苦して、すり減り消耗して、魂にはキット負担に感じていることでしょう?(どう感じているかは、皆さんの魂に聞いてみて下さい。)
 +
 +*迷っているのは誰? [#dcb83f52]
 +先の占師のごとく「迷っている」と言われて動揺し、先方のセールストークに乗せられるのは、「先祖の霊や魂が迷っている」のではなく、「自分自身の心が迷っている」から他無いのでは無いでしょうか。
 +自分自身の先祖供養や魂に対する不案内なところに付け込まれて、その不安を煽るようなことを言われ、つい先方の話を聞き余計不安になる。
 +本当に迷っているのは、先祖の霊なのか?自分自身の心なのか?は明白な所ですね。
 +
 +魂や霊の事を考えると、実態が見えないもの、また、存在すらハッキリしないものですから、様々な意見が有り、好きなように言えるところです。
 +でも、少なくとも魂は我々の内にも有る。そして、魂が生命を育むエネルギーと考え、この自然界に遍在・充満しているものならば、善も悪も、浄も不浄も超越した存在でしょうから、思い悩みながら生きている我々人間より、遥かに優れた存在なのかも知れません。
 +
 +魂や霊のことは魂自身にお任せするにして、我々は長い人生の間、この身と渾然一体と成って預かっている魂を如何にしてすり減らさず、疲れさせずに、上手に付き合っていく生き方を会得する方に重きを置かねばならないように思えます。
 +#navi()


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